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ヒトパピローマウイルスと子宮頸がん
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんを引き起こします。
しかしこのウイルス、どこからともなく進入してくる未知のウイルスではありません。私たちの身近にある、ごくありふれたウイルスです。
パピローマウイルスは皮膚や粘膜にいぼをつくるウイルスです。人にだけ感染するものをヒトパピローマウイルスと呼んでいます。ウシだけに感染するウシパピローマウイルス、イヌだけに感染するイヌパピローマウイルスもあります。
ヒトパピローマウイルスが皮膚に付くと手足にいぼができ、粘膜に感染すると子宮頸がんなどを引き起こします。
ヒトパピローマウイルスの種類
ヒトパピローマウイルスは発見された順番に番号がつけられていて、現在では約140種類が確認されています。このうち子宮頸がんを引き起こすハイリスクなウイルスは10種類程度です。
ほかに、性器のいぼ(尖型(せんけい)コンジローマという。性感染症の一種)やのどのポリープを引き起こす型のウイルスもあります。
ヒトパピローマウイルスの感染経路
ヒトパピローマウイルスは接触感染により感染します。しかしほとんどの場合、感染しても発症はまれです。
子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルスのうち、日本人の感染が多いのは16型、18型、52型、58型など数種類です。これらが子宮頸がんの約8割を占めています。
ヒトパピローマウイルスの感染経路は性行為となります。成人女性の約8割がヒトパピローマウイルスの感染経験があるというデータがあり、私たちは誰にでも感染の可能性があると言えるでしょう。
9割は自然消滅
ハイリスクなヒトパピローマウイルスに感染したからといって、全てが感染するわけではありません。感染しても約9割が自然消滅します。そして異形成し、細胞ががん化し始めるのはごくわずかです。ウイルスに感染して子宮頸がんまでに進行する可能性は0.15%。感染してからがん化するまでは5〜10年かかります。
子宮頸がんはワクチンによって予防が可能
子宮頸がんはあらゆるがんの中で唯一、ワクチンによって予防が可能です。
平成21年12月に国内で子宮頸がんワクチンが発売されて以来、小児科や婦人科でワクチン接種が行われています。
ワクチンを受けると、日本人が感染しやすい16型、18型の2種類のウイルスの感染を防げます。この2種類を防ぐだけで、約6割の子宮頸がんが予防できることになります。
女児への子宮頸がんワクチン接種が推奨されています。セクシャルデビュー前、つまり性交経験前に摂取しておくと効果が高くなるためです。
ワクチン接種によってウイルスがコントロール可能になるとはいえ、完全に防げるわけではありません。ワクチンは16型、18型の予防のみに効果を発揮するためです。
定期的に子宮頸がん検診を
ワクチン接種を受けたとしても、定期的に子宮頸がん検診を受けることが必要です。検診なら、前がん病変の段階で発見できます。
早期発見できれば子宮の一部を切除するだけで完治でき、治療後の妊娠も可能になります。ヒトパピローマウイルス対策には、子宮頸がんワクチンによる予防、定期健診の早期発見という二重の備えが不可欠です。